いつもと違う環境でとってしまう探索行動とは

転勤などで引っ越しをして新しい部屋での暮らしが始まると、飼っているペットが新しい環境になじめず、エサを食べなくなって具合を悪くしてしまうことがあります。体調を悪くするとまではいかないまでも、このようなことは人間にもよくあることです。

新しい生活を始める高揚した気分とは裏腹に、はじめての環境に置かれたときにはペットでも人間でも少なからず不安を抱くものなのです。たとえば旅行をしてホテルに泊まるときのことを思い出してほしい。

ベッドに寝転がって寝心地をチェックすることから始まり、バスルームやトイレの様子から冷蔵庫に入っているドリンクの品ぞろえまで、部屋の中を隅から隅まで自分の目で確認したりしないですか。

こういった行動をとってしまうのは、楽しみにしていた旅行のためにテンションが高くなっているためだけではない。やはり、新しい環境での不安を何とか軽減させようとしている自発的な心理の働きによるものなのです。

心理学ではこういった行動は「探索行動」といわれている。せっかく旅行に来ているのに精神的に緊張してしまっては楽しむことができない。それどころか、かえって気疲れしてしまいます。

そこで少しでも早く新しい環境に適応するために、部屋の様子をつぶさにチェックして不安要素をなくそうとしています。そう考えると、旅先でくつろぐために何度も同じホテルや宿を利用するいわゆる「常宿」を持つ人がいるのも理解することができます。

さらに、リフレッシュするための旅行のはずが、かえって疲れてしまったということにならないよう、ふだんから着なれている部屋着やパジャマ、毎日使っている枕などを持参するのも、旅行を楽しむための秘訣といえます。

日常を忘れるために出かけたはずの旅行なのに、何とも矛盾した話ではありますが。

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