噌やデマは、人から人へと急速に広まっていきます。小学生や女子高生の間で流行る郁市伝説の類ならばそれほど問題はないものの、社会的な広がりを見せるとなると経済活動にも影響が出ることがあります。
たとえば、オイルショックの時代。紙不足になるという噂に慌てた人たちは、トイレットペーパーの買い占めに走り回った。また、ある地方の信用金庫が危ないという噂が流れ、預金の引き出しや解約に顧客が殺到するという騒ぎもあった。
この有名な取り付け騒動の発端は、女子高生のおしゃべりだったという。「信用金庫に就職するのは危ないんじゃないの?」と冗談半分で交わした会話が、人づてに次々と伝わるうちに「信用金庫が危ない」という、まことしやかな噂に発展してしまったのです。確たる根拠もない噂やデマに、なぜ人々はそれほど躍らされてしまうのだろうか。
その背県には社会的な不安が挙げられます。これから先の生活に不安を抱えている状況のなかでは、デマさえも信じてしまいやすい心理に陥るのです。
「○○さんが話していたから」「みんなが言っているからレと噂が噂を呼んでいくうちに、さらにそれが真実味を増していきます。そして、不安に駆られた人々はパニックを起こしてしまいます。
最近でも、国内で新型コロナが発生したとたん、各地の薬局でいっせいにマスクが売り切れた。これなども新型コロナの脅威という健康不安が引き起こしたできごとだろう。たしかに用心は大切です。
しかし、デマはときに暴動や差別を引き起こす危険もはらんでいます。噂に躍らされず、正確な情報をつかみとる態度が重要です。
