悪徳なマルチ商法にはまって大金をつぎ込んでしまった、というニュースは後を絶ちません。 「なんで、そんな口車に乗せられちゃうのかな?」と不思議に思う人も多いと思います。
ところが、詐欺師の甘い言葉に誘われてどんどん深みにはまってしまうのは、被害者の「認知的不協和」も一因ではないかと考えられています。人間は自分の持っている経験や考えと現実がそぐわない時に、不快感や居心地の悪さを感じますがこの感情を認知的不協和と呼びます。
そして、この認知的不協和が起こりそうな場合には、現実を自分に都合のいいように解釈したり、目に入らないようにしてしまいます。
例えば、「急いでも急がなくても遅刻するだろうから、走らない」とか、「自分の買ったパソコンが安売りされていると不愉快だから、広告は見ない」などといった具合です。
マルチ商法の話に戻れば、「この投資話はおかしいかも・・・」と考えることは認知的不協和を生じさせることになります。 自分がやっていることは間違いではないと思い込みたいために、一旦 儲け 話を聞いてしまうと手が引けなくなってしまうというわけです。
しかも、今日は一度支払ってしまったお金に対しては、損失を回避しようという欲求が強くなります。 そこで、せめてモトは取ろうと、さらなるお金をつぎ込むことになります。
先払いしたお金に目が曇り、将来のコストや利益などを適正に判断する力が低下してしまいます。 現実をしっかり受け入れ、方向転換をすることが深みにはまらないコツのようです。
